フランス語語学試験の試験官・採点官になるためには?

Bonjour tout le monde !

外国語学習を始めると
「自分は、今どれくらいのレベルだろう?」
「自分の語学学習の結果を形に残したい。」
「フランス語圏の学校に留学したい!」
と疑問に思ったり、新たに目標や目的ができると思います。
Tat'Ami (c) 2019 - DELF DALF試験官採点官研修


語学試験を受ける際に、
  • 試験官や採点官ってどんな人?
  • どうやって試験官・採点官になるのか?
  • 採点官のお仕事って何?
とほんの少し気になる方もいらっしゃると思います。
そこで、DELF DALF(12/2018)とTEF EO(05/2019)試験官・採点官資格を取得したAmiが、今回ほんの少しお話させていただきます。


Un diplôme et un test - ディプロムとテスト

多くのブログやHPで見られるように、幾つかのフランス語語学試験が存在します👇皆さんご存知のように、語学試験には2つのタイプがあります。

  • ディプロム : 一度取得すると、有効期限は一生涯となります(ケベックに移住する場合、ディプロムであっても有効期限が1年〜2年になってしまいます。Canada Visaをご参照ください。)。フランス語ディプロムの例 → DELF / DALF / DFP
  • テスト : 2年間の有効期限があり、合格不合格がありません。筆記・面接試験があるテスト形式もありますが、選択問題(QCM = Question à choix multiples)が特徴です。フランス語テストの例→TCF TEF



「どちらの試験のタイプを受けたらいいのか?」と迷うことも多いと思います。そんな時、以下の点に気をつけると少し決めやすくなるかもしれません。

  • 受験日程 1 : 教育機関への出願、書類提出期間の締め切りに間にあうのか。

  • 受験日程 2 : 書類提出締め切りまでに受けられる受験回数はどのくらいあるか(= 試験合格または必要到達レベルの結果を出せる機会が増える。(ex. TCF / TEFは、2か月に一度受験可能)。

  • 試験のタイプ : TCFやTEFを受け付けない大学教育機関もあります。また、DELF B2やDALFを持っていない場合、TCF DAPの選択肢もあります(学士1年生・建築学科を受ける場合)。高等教育機関を受験する場合は、しっかり募集要項を確認しましょう!

  • 目的 2 : フランスでの就職に関してCECR(A1-C2)の知識がない採用担当者や会社もあります。しかしながら、フランス語環境でフランス語を使用しながら仕事をする場合、(フランス語講師としての視点から)聞き間違いや解釈の違いも減るので「B2+ 以上のレベル」を持っていた方が働きやすいでしょう。
  • 受験料 : それぞれの試験の試験料にも違いがあります。DELF/DALFをフランス国内で受験される場合、外国の試験場とは異なり、国内の試験場によって受験料が異なります。


試験官・採点官の違いは?


  • 試験官 Un examinateur / Une examinatrice (試験官のことをun animateur / une animatriceと呼ぶ試験もあります): 試験会場で試験を実施する人、主に口頭試験における「面接官」を指します。
  • 採点官 Un correcteur / Une correctrice (Un évaluateur / Une évaluatriceと呼ぶ試験もあります) : 面接試験中にフランス語レベルを採点する・試験のコピー(筆記など)や面接試験の録音データを聞いて採点する者を指します。


CIEP - Wikipédia

DELF / DALF 試験官・採点官になるためには?🇫🇷

DELF DALF試験の試験官・採点官になるためには、研修(30h)と研修中に実施される複数のテスト(+採点アクティビティの点数 / 出席 / 参加)の結果で決まります。


CIEP Sèvres- Wikipédia
パリ郊外Sèvres市にあるCIEPだけでなく、各国Institut Français / Alliance Française で研修を受けるためには、出願時に幾つかの条件があります。例えば、CIEP (Centre International d'Études Pédagogiques) DELF/DALF試験本部で研修への出願条件(2019年現在)は、以下のどれかに当てはまれば出願することができます。書類選考にパスすると、研修を受けることができます🇫🇷


  1. Master 2 FLE(それ相当のディプロム)を持つ、他言語教育の修士号 + 言語評価を学んだ者
  2. Maîtrise FLE、あるいはMaster 2 FLEのディプロムを持ち、2年以上フランス語教授法に則ってフランス語を教授したことがある者
  3. 3年以上フランス語教授法に則ってフランス語を教授したことがある者
  4. 非フランス語母語話者がこの研修を受ける場合、少なくともB2レベルである事(❗非フランス語母国語話者で研修を受けたい場合 : フランス語レベルがB2だと、DELF A1 - B1までしか採点する事ができません。つまり、自分のフランス語レベルの一つ下のレベルを採点する事になります❗)。




TEF (Test d'évaluation de français) 口頭試験試験官・採点官になるためには?🇫🇷

CCIP
パリ イル=ド=フランス商工会議所管轄 Le Français des AffairesTEFという試験の名前をあまり聞いたことがないとおっしゃる方も少なくないかもしれません。

先述したように、TEFはTCFと同じく2年間の有効期限を有するテストです。
TEF EO (Expression orale 口頭試験)の試験官・採点官になるためには、パリ イル=ド=フランス商工会議所CCI Paris Île-de-France (Chambre de commerce et d'industrie de Paris)の書類選考と選考のテストをパスし、研修を受けなければなりません。出願の主な条件(2019年現在)は、以下の通りです。


  1. フランス語母国語話者、あるいはフランス語C2レベル(口頭)
  2. 外国語としてのフランス語教授法に則ってフランス語を3年以上教えた経験(FLE / FOS (Français sur objectifs spécifiques (特定の分野のフランス語教授 - ホテル・レストラン・法律・ビジネス・観光 ...))など)
  3. フランス語を様々な学習者(様々な就学歴や文化を持つ人たち)に教えたことがある。
  4. 言語評価や採点に関して高い関心を持っている。
  5. CECR (Cadre Européen commun de référence pour les langues - ヨーロッパ言語共通参照枠)を熟知している。
  6. Master 2 FLE / FLS またはDAFLE(Alliance française de Paris で取得できる資格)保持者

Professeure Ami (c) 2019 - Évaluation / CECR
❗❗以前こちらの投稿でもお話ししたように、フランス国内外でフランス語講師として活動するにはMaster FLEのディプロムを持っていることが条件という教育機関が多いです❗❗


フランス語試験の採点官として活動し始めて難しく思った点は、「採点する際の''迷い''」です。みんな、緊張しながら受けるテストで100パーセントの実力を出すことは簡単なことではありません。その緊張や不安が伝わってくることもあります。
採点は、他の仕事と同様に責任の伴う仕事ですが「自分の採点で受験者のレベルがきまる・受験者の進路が左右される」と考えると「この採点で大丈夫なのか」と確定する前に不安になることがあります。


試験官・採点官の資格を持っていて、良いことは?🇫🇷


講師側のメリットは、

  • CECR (A1-C2)の知識があることを証明できる。
  • 言語評価の仕事に慣れていることを証明できる。
  • 学習者が学ぶべきことを知り、学習者のフランス語レベルを分析できる。
  • フランス語講師だけでなく、試験官・採点官として仕事と活動の幅が広がる。
  • 自身の知識・スキルアップ、キャリアのステップアップができる。

試験官・採点官資格を持つ講師から学ぶ、学習者側のメリットは、

  • 語学試験の採点・合格基準を熟知しているため、ピンポイントな指導・アドバイス・試験対策の講義を受けることができる。
  • 語学試験のシミュレーション(面接や筆記)ができる。
  • 合格やポイントアップ、学習のコツをつかむことができる。
  • 自身の語学レベルや苦手な点を分析してくれる。


今回も、長い記事を読んでくださりありがとうございました ! 😊
これからも採点官として、フランス語講師としてゆっくりゆっくり経験を積んでいこうと思います!
Merci beaucoup pour votre lecture et à la prochaine 🇫🇷 
Professeure Ami